八代市出身・在住の気象予報士・防災士である早田蛍さん。
気象予報士の知識を活かし、様々な実験器具を使って、子どもたちに天気を身近に感じて楽しんでもらう体験型のイベントや、大雨や津波のときに「どう命を守るか」、いざという時に使える実践的なことについて参加者と一緒に考える防災ワークショップなどを学校や自治体など幅広い世代に伝える活動に尽力されています。
過去に熊本でも大きな地震や水害などが発生し、防災はもちろんのこと気象について知っているだけでも様々な対応策がとれ、役に立つことばかり。
もちろん住んでいる地域や地場の状況によって同じ対応策でいいわけではないので、早田さんはセミナーやワークショップを通して、その土地に住む人たち一人一人の考えを引き出しながら最善策や備えを考えることを大切にされています。
今回は、八代の気象予報士・防災士である早田蛍さんにインタビューをしてきましたので、早田さんが尽力されている活動の魅力をお伝えできればと思います!
八代の気象予報士・防災士 早田蛍さんプロフィール
2005年 熊本県立八代高等学校 卒業
2008年 福岡大学経済学部経済学科 入学
2012年3月 気象予報士 取得
2012年3月 福岡大学経済学部経済学科卒業
2016年~ 現在の活動(講演・ワークショップ・お天気教室など)を始める
2017年6月~2019年5月 (一社) 日本気象予報士会 九州・沖縄地区ブロック理事
2019年6月 (一社)日本気象予報士会 石井賞受賞
2020年6月 福岡管区気象台 台長賞受賞
⾼校在学中、地学の授業で気象の⾯⽩さを知り、福岡⼤学経済学部在学中に8度⽬の試験で気象予報⼠の資格を取得。
その後、結婚や出産を経て、熊本地震をきっかけに現在は九州を中⼼に気象防災講演、防災ワークショップ、お天気教室を開催されています。
小さいころから災害が毎年のように起こる八代市坂本町で育ったことから気象に興味を持ち、災害で人が亡くならない街づくりを目指して、気象の観点から防災普及・啓発活動に尽力。
学校に防災教育を取り入れるために、小学校の防災避難訓練の監修も行い、 気象防災の知識普及啓発を進めるとともに、気象予報士の地位向上や活動の場を広げることにも取り組まれています。
2020年7月に熊本が豪雨に見舞われた際、その2週間前に地元・坂本中学校で防災教室を開いたばかりで「生徒たちが率先して兄弟やお年寄りを避難させていたという話を聞いて、防災教育の大切さを改めて実感した」とおっしゃられていました。
ワークショップやイベントについて
「気象」と「防災」と聞くと、あまり関連がないように思われがちですが、天気から災害に繋がるという点では関連性はとても深いものになります。
早田さんが開催されるワークショップやイベントでは、参加者の年齢、住んでいる地域によって内容の組み立て方が毎回変わるので同じ内容の講座はほぼないそうです。
参加者に伝わりやすく、行動に移しやすいよう心掛けられています。
お天気教室・イベント
様々な実験器具を使って、子どもたちに天気を身近に感 じてもらう・楽しんでもらう体験型のイベントです。 知ってるようで知らない天気予報の豆知識、竜巻・雷・ 雨・液状化(地震)などの講話や実験ができます。
小学校、公民館親子講座、夏休みの学童講座、幼稚園・ 保育園、公民館主催防災イベントなど
防災講座・ワークショップ
大雨や津波のときに「どう命を守るか」、いざという時に使える実践的なことについて参加者と一緒に考えていきます。 気象情報の種類や意味、ハザードマップの使い方など「普段からの備え」についてお話しされます。
小学校・中学校・高校、自主防災組織、気象台職員、親子講座(未就学児)、建設 会社、公民館講座、主任児童員研修、青年会議所、ボランティア連絡協議会、教職 員安全担当者研修、大学の公開講座
防災ワークショップにおいては、伝えることはもちろんのこと”引き出す防災”という観点をとても大切にされています。
防災の備えは、家族や住まいの状況、住んでいる地域によって変わってくるので参加者の考えや状況を引き出しながら、自分事と捉えてもらえるようにお話をされています。
例えば、避難する時に目が悪い人は眼鏡の予備を準備しとかないといけませんし、赤ちゃんがいる家庭ではオムツなどの用意、お年寄りがいるところは常備薬など家庭によっても必要なものが違いますし、ハザードマップを見てわざわざ避難が必要ない地域にお住いの方はライフランが停止した時に保存食や水分の備蓄をしておかなくてはなりません。
こういった起こりうる最悪の状況をそれぞれの立場で考え、引き出させることによって初めて参加者の方々は自分の立場で考えることができるのです。
早田さんの今後の展望
早田さんの今後の展望として「地域に特化した気象」の土台を固めることだそうです。
気象台はあるにせよ、各地域の地形などを考えると、もっと地域に特化した気象予報士が必要だと感じ、そのことが未然に予測できれば防災にもさらに活かせるのではないかと考えられています。
まだ具体的な案はないものの、ここ1年そう感じることが多く、今後「土台から作っていきたい!」と話されていました!
皆さんに伝えたいこと
「大きな災害はこの先も必ず起こる。」 令和2年7月豪雨で地元の坂本町が被災した時に強く感じた早田さん。
日頃の備えで、いざ災害に見舞われた時に早めに避難して命を守ることができますし、助かった後のお困りごとを少しでもでも減らすことができます。
いざという時、困らないために「災害は必ず起こる」という気持ちで今のうちから備えておきましょう。
また、行政・地域・個人、それぞれにしかできない備えを普段からやっておくことが大きな力になります!
さいごに
災害とは、どちらかというと「身近であって身近ではないもの」という印象が強い方もいらっしゃるのではないでしょうか?
定期的に起こらないにしても、熊本地震にしろ、令和2年7月豪雨にしろ八代市に住んでいる私たちは実際に体験した出来事で、今現在はその時の恐怖感や危機感が薄れてしまっているかもしれません。
このように普段から開催されているイベントに参加することで、その時の気持ちを忘れず、常日頃から備えることがいいきっかけ作りになるのではないかと思います。
八代市の気象予報士・防災士の資格を持つ早田さんならではのイベントに参加して、一人一人がしっかりと考えて備えてみてはいかがでしょうか?