運動能力低下が問題に?子どもの身体の動かし方や運動について「コオーディネーショントレーナー」に聞いてみた

皆さんは、子どもたちの運動能力が低下していることが近年で大きく問題視されていることをご存じでしょうか?

「うちの子はまだ小さいし、これからだから大丈夫!」「小さい頃からスポーツの習い事をさせているから!」など様々な意見もあるとは思いますが、こういったコロナ時代の背景やネットに触れすぎる文化が未来を担う子どもたちの運動能力に大きな弊害となっているのです。

実際に、スポーツ庁から発表されている小学生から中学生までのスポーツテストの結果が毎年下がってきているのも揺るがない事実であり、この問題を無視し続けると親御さん世代では悩まなかったことで自身のお子さんが運動能力の低下で悩んでしまうといった事態が起こるかもしれません。

そこで今回は、ドイツのライプチヒ大学公認の熊本でたった3人しかいない「コオーディネーショントレーナー」の方に公園で遊ぶと良い遊具や幼少期からやっておくといい身体の動かし方について聞いてきました!

目次

なぜ子どもたちの運動能力が低下しているのか?

子どもたちの運動能力が低下している原因は様々な要素が考えられますが、そのほとんどが「時代背景」によるもの。

その理由が以下の項目になります。

・コロナが流行したせいで外で遊ぶことがむずかしくなった
・ネット社会によるゲームやYouTubeで室内にいる時間が増えた
・昔に比べて遊ぶ場所が減っている
・核家族が増えて親御さんが子どもから目を離せなくなった
・遊んで怪我をする危険性より人からの危険性・事件性が増えた
・学校で遊ぶことが減った

少し個人的な話をさせていただくと、私自身小学生の頃は習い事として空手やサッカーをしていましたし、学校では休み時間になると野球やサッカー、ドッジボールやかくれんぼ、一輪車に乗って遊び、学校が終わってからは友達の家で遊んだり、皆で公園に行ったりと習い事の他にも、遊ぶことで『身体の動かし方』を自然と学んでいたような気がします。

高齢者だけではない!子どもにも当てはまる”ロコモティブシンドローム”

ロコモティブシンドロームとは、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態 」のことで、2007年に日本整形外科学会によって新しく提唱されたものになります。

基本的には、高齢者の「立つ」「歩く」機能が低下し、介護が必要となるリスクが高まった状態や健康寿命に関することを指します。

このロコモティブシンドロームを測定する内容をある県の小学生に実施したところ、子どもたちの4割がロコモティブシンドロームに引っかかったというデータもあるそうで、そうなるとスポーツテストの結果が下がっているのも納得です。

また、運動能力が低下することでバランス感覚が乏しく、転倒から骨折してしまうというケースも増えているそうです。

身体の発達と運動能力

運動能力が低下したまま小学校高学年・中学生くらいまで身体が発達してしまうと、バランスが悪く、前転や後転もできないことが多々あります。

どうしても運動能力は目で簡単に見えるものではありませんし、身体の発達に比べ、未熟なまま成長するケースが多くなるといった結果が出てしまうのです。

令和3年小・中学校スポーツテスト

令和3年に行われたスポーツテストの結果は、コロナ禍でもあって小中学生の男女それぞれ昨年より大きく減少しており、小学生男子においては計測を始めたH20年から過去最低の数値になっています。

このような事態が続くと日本のスポーツ界は非常に厳しい状況になることは誰もが予測できるでしょう。

ひとつのスポーツの習い事だけではダメ!

「運動能力が下がってきているならスポーツの習い事だけさせれば問題ない!」という考えもあるとは思いますが、ひとつのスポーツだけをさせ続けるだけでは絶対にいけません。

どの競技を習わせるにしろ、基本的な動作ができていないと技術の限界を迎えてしまうからです。

例えば、サッカーだけをさせていたらボールを投げるという動作に関しては全く対応できず、基本的な動作ができていないのであれば、その分、技術の幅も狭まってしまうのです。

幼少期から36ある簡単な身体の動作さえ学んでおけば、身体を動かせる幅が広がり、技術面でも成長が期待できます。

幼少期覚えておきたい36の動作

図で見てもらうとわかると思うのですが、上2つの図は姿勢と重心に関する機能の運動、3つ目の図は道具を使うような運動が中心です。

運動やスポーツは姿勢や重心などが目まぐるしく変わるものであり、基礎となる姿勢や重心をコントロールする機能が不十分だと、うまく身体を操作出来ずスポーツや運動を行えません。


姿勢と重心の運動が基礎として十分だと、細かい運動や四肢を巧みに使ってボールを蹴ったり、投げたり、バットで打ったりができるという何事も順序なのです。

このベース(基礎運動)となる部分が十分でなければ、より高度な運動(スポーツ競技)はうまく行えず、時間がかかり、応用がきかなくなるというわけです。

コオーディネーショントレーナー・理学療法士の吉井さん

今回取材にご協力いただいたのは、コオーディネーショントレーナー・理学療法士、MIRAI∞ 代表の吉井清人さん。

熊本にはたった3名しかいないドイツのライプチヒ大学公認 コオーディネーショントレーナーとして子どもたちの身体作りだけではなく、未来作りのイベントなどを開催され、ご活躍されています。

また、保育園児から中学生までが所属する全国大会にも出場したサッカークラブチームSORRISO熊本で身体の動きやフィジカル面やケア、栄養管理などトータルサポートができるトレーナーとして帯同されているので、これまで数多くの子どもたちの指導をされてきました。

普段から子どもたちに対しても「いろんな経験をして成長ほしい」という想いがあり、要領よく良いとこ取りをするのではなく「無駄なことはないからあえて無駄なことをしなさい。それには無駄ではなく、後々繋がるから」と一人一人の成長の過程を大事にされています。

依頼があれば、八代でも遊びながら身体の動かし方を覚えるスクールなどもやっていきたいとおっしゃられていましたので、ぜひ八代でもそういったスクールを開催してもらいたいですね!

コオーディネーショントレーナーがおすすめする公園の遊具

吉井さんが最もおすすめする遊具は『ロープジャングルジム』。

縄を登る・足で踏ん張るといった動作でバランス感覚や掴む感覚、危ないと感じた時の危機察知能力も養えるそうで、その遊具があるとご自身のお子さんにも必ず遊ばせるようにしているとのことでした。

健康器具ゾーンでよく見かけるこの器具でも安全に飛びながらバランス感覚を養えるのでおすすめの遊具だそうです。

とにかく普段の生活では行わない動きを取り入れると良いとのことだったので、皆さんもお子さんにこのような遊具で遊ばせてみるのはいかがでしょうか?

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